住宅の話

立派な書院風の床の間(ネットから)
立派な書院風の床の間(ネットから)

建築学科の学生約40人に、実家に床の間のある人、という質問をしました。あると言ったのは、何と2人だけでした。

確かに、和室が減り、更に飾り物の床の間となると、ここまで減ってしまうのでしょう。ちなみに、我が家にもありませんが。

 

おそらく、90年代のマンションには床の間は無いかもしれません。私が住んでいるマンションは86年の完成ですが、当時マンションを探して歩いていたときに、床の間はほとんどありませんでした。でも、若干は付いていました。

でも、その後は無用の長物となったのでしょう。確かに、床の間に飾る物すらありませんから。

 

1980年代、私がまだ駆け出しの頃、住宅の建て替えで施主宅を訪問すると、よく床の間が付いていました。そして間取りの打ち合わせを始めると、やはり和室の希望が出て、その部屋には床の間を要求されたものです。でも考えてみると、大抵のお宅の床の間は、テレビ置き場か、仏壇置き場になっていて、中には完全な物置になっていたお宅も多くあったと思います。

それでも、予備室や客間としての和室の希望が出て、そこには床の間が必要だったのです。

 

最近、地方での設計をしていないので、地方の様子は分かりませんが、都市部では、和室は作っても床の間は消え去ったという気がします。確かに飾りであり、飾る場所ではあるのですが、飾るべき書も絵も壺もなく、生け花も出来ないとなると、収納にした方が合理的ではあります。

 

でも、和室や床の間には、精神性があります。いや、ありました。武士道、禅、茶道、仏教など、床の間と共に、これら日本人の精神も消え失せたのでしょうか。

ちょっと、考えるべきかもしれません。