設備の話

物理や環境工学の教科書
物理や環境工学の教科書

数学と理科が嫌いだった人は多いと思います。特に理科では、生物は我慢できても、物理は全くダメという人をよく見ます。学生にも(建築の学生ですが)物理は苦手、という人はたくさんいます。一般の人から見ると、ちょっと以外かもしれません。だって、物理の力学は、建物の構造や構造計算に必要でしょう。

って、はい、必要です。ですから、構造の出来ない学生が多いのです。

 

でも実際には、構造計算が分からなくたって、設計は出来ます。施工もできます。構造計算はプロがやってくれますので。

ところが、物理の領域で、プロに頼めない知識の多くが設計に必要になってきます。その内容を、環境工学と呼んでいます。部屋の明るさや遮音性能、断熱の仕組み、部屋の快適性能、換気や空気の循環、暖冷房と快適さなどなど、多くの内容が実は高校の物理の教科書レベルで必要となってきます。

 

建築の授業では、建築設備と環境工学とが、抱き合わせで行われます。もちろん、一級建築士などの資格試験でもテストされます。

この知識の多くは、居住環境の快適さ、に強く関係していて、それを知らないと、ただいたずらに機械に頼った住宅になってしまいます。あるいは、住み心地の悪い、例えば、音が響くとか、部屋が暗いとか、結露がひどいとか、押入にカビが生えたといった現象になって現れてきます。これらはみんな、建築設備と環境工学の知識によって解決される内容です。

同じマンションでも、階数や場所、方位で環境は違うし、間取りによって通風や明るさも違ってきます。設計図だけを見て設計していると、そうした違いを考慮できません。場所を見る必要があるのです。

 

設備や環境は、全く目に見えません。全て床・壁・天井の中か空間全体の話ですので。なので、評価は困難です。ということは、良い設計は目に見えないものかもしれません。もちろん、数字で表せるものも限られています。

大嫌いな高校時代の物理が、意外なところで人々の生活を支えていました。

私ですか?私は学生時代、数学と物理が大好きで、特に数学は三度のメシより好きでした。おかげで、今とても助かっています。