環境の話

太陽と庇の関係  鹿児島県のHPから
太陽と庇の関係  鹿児島県のHPから

日本の緯度だと、太陽の位置は、冬至の正午で30度くらい、夏至で80度くらいです。夏と冬とではずいぶんと違っています。もちろん南国に行けば高度が90度、つまり真上に来ることもありますし、北にゆけば、冬には0度、つまり一日中太陽が出ない国もあります。

 

風の向きも色々です。関東地方では、夏は南東方向の海風が主流で、冬は北西からの山越えの乾燥した風が主流です。これも国によって違いが大きく、ハワイのように常に貿易風と呼ばれる東風が吹いている国もあれば、南米チリのように常に海からの西風が吹いている国もあります。

 

太陽と風は、建築の設計では常に配慮するべき物で、友とするか敵とするかで、大きな違いが出てきます。

日本人は昔から、太陽も風も友としてきました。例え南国の沖縄でも、強い日射しと暴風雨を巧みの避けながらも友としています。住宅は常に南向きがベストですし、日照を得るための権利まで法律で守られています。

でも、太陽が敵の国はたくさんあります。アメリカのテキサス州では、全戸北向きの住宅地を見たことがありますし、バンコクで南側を全面ガラス張りの住宅を設計したら、キチガイと思われるでしょう。

 

日本で太陽とうまくつきあう為には、庇がかかせません。窓の上に60~80cm程度の庇があるだけで、夏の直射日光は避けられて、冬の暖かな日射しは受入れることが出来ます。また、雨が直接窓や外壁にかかることを避けるのも、庇の大きな役割です。雨漏りを防ぎ、外壁やサッシの寿命を大きく延ばす効果もあります。庇は正に、太陽を友とする重要な仲人です。

でも、都会の住宅の多くには庇がありません。全くの四角い箱であったり、申し訳程度の短い庇しかない家がたくさんあります。20世紀初頭に始まった近代建築の影響によるものですが、敷地が狭いことも大きな原因です。

 

最近の都市型住宅は、閉鎖密閉して、室内環境を人工的に作る傾向が大きい事も大きな理由のひとつでしょう。晴れていようが雨だろうが関係ない、ってな訳です。適温で快適な湿度を持った室内環境は、省エネを無視すれば比較的簡単な技術で作り出せます。

でも、そんなところで一年中生活をしていたら、きっと人間はバカになってしまうでしょう。

四季折々の環境の変化を感じながら、太陽と風を友とする生活は、身体のためにも、脳のためにも大切なのです。