住宅の平均面積

セキスイハイムM1
セキスイハイムM1

1970年前後と言えば、大マンションブームでした。日本の都市圏では、雨後の竹の子の様に中高層マンションが建ち続けていました。当時団地に住んでいた私も、両親とマンションを見に行った記憶があります。とにかく建物が大きかったという記憶しかありませんが。

セキスイハイムが、ハイムM1というユニットハウスを売り出したのも、1971年です。工場で作ったコンテナの様な箱形ユニットを、現場で組み合わせるだけという徹底した工業化住宅でしたが、大ヒットしました。住宅は近所の大工が作るもの、と決まっていた常識が、住宅メーカーの登場で大きく変化し始めました。ミサワホームやパナホーム、ダイワや三井など、大手の住宅メーカーが都市圏のサラリーマンを狙って、大きく成長し始めた時代です。

 

住宅金融公庫や政府、公団なども住宅建設に注力し、建てよ建てよの時代でした。

でも世の建築家達は、この頃からただ標準設計によって量産される画一的な住宅に、警鐘をを鳴らし始めています。都市型住宅のあるべき姿、住民参加型のマンションの建て方、高齢者への配慮などが1970年代後半から現れています。これらは、建築界にとっては新しい住宅の世界の幕開けです。言わば、1930年頃から始まった欧米式近代住宅から、日本独自の発想による現代住宅への移行時期です。尤も、そうした建築家達の提案が一般に広まるには、更に10年が必要でしたが。

 

1980年代中半、大型団地も標準型住戸プランも無くなり、住宅メーカーによる注文住宅が流行し、バブルが訪れましたが、既に住宅の数は飽和状態。一世帯に一戸以上の量になっています。古い団地に空き部屋が出始め、古いマンションも空き部屋が出始めています。それでも新築マンションと住宅は売れ続けていたのですから、日本経済の底力と言うべきでしょう。

でも1995年頃が限界でした。住宅着工数は着実に減少し続け、2007年には100万戸を切るまでになっています。

 

現在、戸建て注文住宅の平均面積は120m2を越えています。アメリカには及びませんが、ヨーロッパの100m2前後は越えています。でも、賃貸アパートの平均面積は未だに50m2弱で、ヨーロッパの70m2程度には追いついていません。

福祉国家の成熟度は、賃貸アパートの質に現れると提唱した学者もいます。先進国で高度な福祉国家は、アパートの質が高くなる傾向にあります。日本はと言うと、その意味では成長した福祉国家ではありません。住宅を、経済活動の商品としてしか見てこなかったせいでしょう。本当は福祉の対象だったはずなのですが。

日本は金持ちと大企業に利のある国、という烙印が捺されて、悔しいけど、納得です。