住宅の話

薪ストーブ(メーカーのカタログから)  中では本当の薪が燃えていて山小屋の気分を味わえます
薪ストーブ(メーカーのカタログから)  中では本当の薪が燃えていて山小屋の気分を味わえます

台所以外、家の中で火を燃やすことがなくなりました。防火の観点からは良いことだと思いますが、実は火というのは特別な力があり、人を集め、囲み、気持ちを静めるパワーを持っています。石油ストーブの火ではそこまでは期待できないですが、暖炉やいろりなどで実際に木を燃やすと、その効果を実感できます。

 

太古の昔から、火は信仰の対象であり、食事の為に必須なだけでなく、暖を取り、獣などの害獣から身を守り、時には戦いの武器にも使われてきました。現代でも護摩を焚いて不浄を払ったり、どんど焼きで無病息災を祈ったり、お焚きあげで厄払いをしたりと、火は信仰と深く結びついています。そのせいかどうかは分かりませんが、火を見ると人間は神聖なものを感じ、身も心も温まり、静かな気持ちになります。

不思議なもので、暖炉の火の回りでは、何故かみんな黙り込んでひたすら火を見つめています。そして火を見ているだけで、時の経つのを忘れています。

 

火がその様に神聖で生活にとって重要であった時代、火は常に家の中心にありました。日本ではいろりがそうで、西洋では暖炉やストーブ(暖房用のストーブではありません)がそうです。火の回りに輪を作ることで、集いが生まれたのです。

 

現代住宅にはもちろん火はありません。調理は台所のコンロ、暖房はエアコン、仏壇のろうそくすら無いでしょう。これってつまり、家の中に中心が無いということを意味しています。家の中の空間は、常に均質で等分に広がっています。何処にいても同じ、という事で、家族の誰もが根無し草のようにフワフワと家の中を漂ってます。

現代住宅に火があったら、きっともっと違った家族が育っていたでしょう。

 

最近ごく一部ですが、薪ストーブという暖炉が出まわっています。石や煉瓦で作ったいわゆる暖炉ではなく、中で薪を燃やす鉄製のストーブです。煙突で煙は外に出し、燃えている様子は正面の開口や耐熱ガラス越しに見ることが出来ます。燃やすのは薪ですから本物の木です。なので、チロチロと燃えている様子を見ることが出来、温かいし、ストーブの上では製品によっては目玉焼きも作れます。

家の中心になるには少し役不足ですが、冬の一時を過ごすには結構いけてる道具だと思います。

ガスストーブとは違った火の持つ魔力を、少しだけ感じることができると思います。