住宅の話

これって危険!  って、大丈夫です。強化ガラスの手摺です
これって危険!  って、大丈夫です。強化ガラスの手摺です

住宅雑誌などを見ていると、ずいぶんと変わった家がたくさん出ています。ただ変わった、なら趣味の問題なのでいいのですが、中には問題物件もたくさんあります。問題物件というのは、どう見ても危険とか、これは住みにくいとか、暖冷房はどうするのなんて思う住宅です。何でこんな住宅を雑誌は取り上げるのだろう、とメディアの発想には疑問を感じることも多々あります。

 

住みにくいは施主の都合なのでかまいませんが、危険は困ります。

屋根の上を使う住宅が大きく発表されたことがあります。つまり屋上利用です。新しい発想ではありませんが、その住宅にはその屋上に手摺がありませんでした。平屋の屋上なので、落ちても命に別状は無いでしょうが、発想としても設計としても有り得ない住宅です。メディアは大々的に取り上げ、建築学会も賞を与えていますが神経を疑います。

 

ベランダの手摺の間隔は隙間が11cm以下で、縦型の桟というのは、公庫や公団(UR)などでも使われている一般的な規定です。メーカー住宅や公共の建物、一般のマンションなどはこの基準を遵守しています。でも、世の中の建築家の住宅ではほとんどが無視されています。細いワイヤーを2~3本横に渡しているだけ。落ちれば命の危険のある場所でもそうしています。確かに11cmの間隔の手摺は暑苦しくて格好悪いです。でも、もう少しやり方があるのでは、と疑ってしまいます。

 

手摺のない階段、ハシゴで登る子供部屋、強度のない手摺の吹抜、総2階部分での大きな開口部などなど、施主が納得しているからいいのだ、とは言えないと思います。でも、普通に雑誌で見掛けます。

網戸が無くて不便だろうなぁ、とか、使い難い台所だなぁ、なんて言うのはあくまでも感想なのでどうでもいいのですが、こうした安全性を無視した住宅作品はどうしたものでしょう。民間の出版社の営利目的の雑誌なので文句の付けようがはないですが、それを見た人達が勘違いをしてしまうのが困ります。あくまでも一部のショービジネスと認識してくれれば良いのですが。

 

もちろん、優れた住宅作品もたくさん掲載されています。ただ、掲載の基準はあくまでも出版社の都合なので、そこの所を見る人が理解してくれると良いのですが。視聴率優先の民法のニュースやバラエティー番組と同じで、見る側の人々にも見る目が必要なのかもしれません。頭ごなしに信じてしまうと、間違った世界に行ってしまいますので。

住宅は、やはり安全でないといけません。多少の事は許されても、越せない一線ががあります。それを越さないのが、優れた設計と言えると思います。