自然素材3

写真の左が無垢の柱、右がエンジニアリングウッドの柱  実際には表面に薄い板を張ってしまうので見分けが付きません
写真の左が無垢の柱、右がエンジニアリングウッドの柱  実際には表面に薄い板を張ってしまうので見分けが付きません

自然素材で作られた住宅、という広告はよく見掛けます。ちょっと意地悪にこの言葉の意味を考えてみたいと思います。

建築は大きく、基礎、構造躯体、下地、内装仕上、外装などに分類されます。基礎は鉄筋コンクリートで出来ていて、これはほぼ100%共通です。でも構造躯体はいろいろです。鉄筋コンクリート、鉄骨、木造で既に違いがあります。

自然素材なので、木造に絞って考えてみます。柱には杉やヒノキの4寸角を使う事が多いですが、ここでまず、この柱が自然素材なのか疑問があります。国産の多くの杉やヒノキは、間伐材という間引きした木を、細くスライスして貼り合わせて一本の柱にする、いわゆるエンジニアリングウッドという材料が多く使われています。特にヒノキは、ほぼ100%がそうでしょう。無垢のヒノキはかなり高価ですので。

 

この柱はは自然素材なのでしょうか。エンジニアリングウッドには接着剤が使われています。シックハウス症候群の引き金となったホルムアルデヒドを含んでいたのがこの接着剤です。となると、とても自然素材とは呼べません。そもそもエンジニアリングですから工業製品に違いはありません。

更に、床や壁の下地材などには、合板が使われています。いわゆるベニヤ板の事です。薄くスライスしたラワン材や松材などを接着剤で幾層にも貼り合わせたエンジニアリングウッドで、特に住宅の床下地の100%がこれでしょう。またまた自然でない素材が使われていました。

 

壁の下地は石膏ボードが主流です。石膏の両面に紙を貼り付けた素材で、やはり工業製品です。漆喰や珪藻土もこの石膏ボードの上に塗ることが多く、クロス仕上げや塗装仕上げも同じくこの下地材を利用しています。

こうして考えてみると、自然素材の家というのも、どうも怪しくなってきました。結局自然素材は、最後の内装仕上げの表面材だけでしかないのかもしれません。人間で言えば皮膚だけが自然で、中身は機械というサイボーグに近いものかもしれません。

 

私は仕上げ材や造作材にシナという木をよく使います。いわゆる白木です。たいていはシナ合板というベニヤ板でやはりエンジニアリングウッドです。これにオスモというドイツの天然素材のオイルを塗って仕上げます。

別に自然素材として使っているわけではなく、調湿性能が高くきれいな木地色なので使っています。でも、施主はもしかしたら自然素材の家と思っているのかもしれません。何か、言葉だけが一人歩きしているみたいな気がしないでもありません。自然素材とは言ったことはないのですが・・・・