和食と和室

飛騨高山のみたらし団子屋  私の知る限り40年以上ここで団子を売っています
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和食がUNESCOの世界無形文化遺産に登録されました。フランス料理、メキシコ料理、地中海料理、トルコ料理と並んで、食事文化としては五つ目だそうですが、驚きです。何が驚きかって言うと、和食が入るなら、既にイタリア料理や中華料理は入っているのかと思いました。フランス料理は分かりますが、メキシコ料理とかトルコ料理というのが意外です。選定基準を知らないので何とも言えないのですが、何か文化的な背景が無いと、ただおいしい料理だけではだめなのでしょう。その意味では、私はメキシコもトルコもよく知りません。タコスとシシカバブーだけしか知らない自分を恥じるべきなのでしょう。

 

和食が選定された理由の背景には、食文化として、食材を生かした調理法、器への盛りつけの妙技、見た目の美しさ、質素でバランスの良い栄養素などのほかに、食事をする環境である和室も評価に含まれていたそうです。つまり、環境と食事が一体となって評価されたと考えるべきです。

 

皮肉なもので、日本人は和食離れが顕著です。魚より肉料理、米よりパン、お茶よりコーヒー、そして和室が無くなり洋室の生活。選定理由の全て逆を行っているのが、現代人の生活ですから。要は、評価されたのは現代の日本人ではなく、伝統的な日本を保存し続け、しかも世界に紹介し続けた一部の方々の活動と言えるのではないでしょうか。世界各国で働く和食の料理人、日本で伝統を守りつ続けてきた老舗の料理人、陶器の器や漆の器を伝承し続けている職人、代々続いている和風建築を守り続けている方々、そして和室を作り続けている大工や建築家など、陰の人々のおかげと言っても良いのではないかと思います。少なくとも、ビールを飲みながら焼き肉を食べている人のおかげではなさそうです。

 

先日、海外の留学生に日本びいきが多いという話をしました。私の知っている世界はわずかです。でもそのわずかな世界でも日本の文化は好評です。恐らく私の知らない多くの世界では、もっと日本の文化は好評なのでしょう。そんな確信をしました。

建築は、食文化以上に文化の集大成です。和風建築は、環境とそこで営まれる所作や生活、そこに置かれる物、そこで行われる事、その周囲に与えるオーラまで全てが含まれますし、全てを支配する力を持っています。それ程に世界に唯一無二と言えるでしょう。つまり伝統的日本の全てが含まれているという事です。そこで食べる食事が、和食、という事なのだと思います。

 

建築の大学生が日本文化を知らず、ミキサーで掻き混ぜた得体の知れない「グローバル」とう名の文化だけに染まっている事態を憂いています。日本文化が世界遺産に登録された喜びだけでなく、その背景を正しく理解し伝えるよう、マスコミにも教育関係者にもお願いしたいと強く思います。