職人不足

2012年総務省の資料  建設関係の職人の年齢層
2012年総務省の資料  建設関係の職人の年齢層

最近、見積りを取る度に言われます。職人がいなくて、現場が進まないので、新規の着工ができない、って。

住宅の着工数は少し回復したらしいですが、だからといって建物を造るプロの職人の数には限度があります。その職人が、この数年から十年近い建築の不景気で、数多く廃業しているそうです。先日、左官屋と話をしていたら、この十年で神奈川県だけで600人以上の左官屋が廃業したそうです。つまり、モルタルを塗ったり、土間を仕上げたり、部屋の塗り壁を仕上げる職人が大量に廃業している訳です。

 

職人は簡単には増えません。長年の修行が必要で、自動車の運転のようなわけには行きません。

ベテランの職人には中高年が多く、その多くが廃業しました。若手が一人で職人にはなれません。中高年のベテランの親方の指導が無いと無理です。なので、若手も育ちません。と言うわけで、結局いつまで経っても職人は増えない、という悪循環に入っています。それが現在の状況です。左官だけでなく、大工、タイル、塗装、土工、鳶、電気、水道などなど、経験と技が必要とされる職人全体でこの状況が起こっているようです。

 

職人が減った背景は二つです。

まず、建築業界の不景気、そして若手の不足です。特に、若手の不足は深刻な問題で、暑さや寒さに耐えながら現場で働こうとする若者がほとんどいない、とぼやいていました。職人はサラリーマンのような訳にはいきません。働いた分しか収入は無く、土日が休みということもありません。無い時は何日も仕事がないし、重なると早朝から深夜まで何日も仕事です。そんな仕事に、若い成り手がいないそうです。

 

自動車や家電品は、人件費が安く働く意志が強い東南アジアなどに進出できますが、建築は日本で作るしかなく、誰もが出来る仕事ではありません。3年~5年の修行が必要ですし、日本人の精度は世界一ですから、外人では着いてこれないでしょう。

これから、オリンピックの特需が始まります。でもやっぱり職人はいません。

オリンピックを優先すれば、一般建築や住宅が進まなくなるのは明らかです。日本には、建築の特需を請ける体力は既に無いのですから。

不必要に華美なスタジアムや施設の建設を控え、全体を見ながら適正な準備を進めていただきたいと、今から真剣に心配です。