住宅の話

吉村順三の軽井沢山荘  こんな住宅に住めたら仙人になってしまうかもしれません
吉村順三の軽井沢山荘  こんな住宅に住めたら仙人になってしまうかもしれません

住宅が人の感覚に与える影響は、計り知れないものがあります。もちろんここで言う住宅とは、インテリアと周辺環境も含んでいます。

例えば、海辺の旅館で部屋の窓から広々とした海が見え、涼しい風の通る部屋でゴロンと横になれば、誰でものびのびとした気分になります。高原のロッジに泊まって木製のバルコニーから遠い山並みを見れば、爽やかですがすがしい気分になります。逆に、窓の少ない閉ざされたコンクリートの密室にこもれば、陰気な気分になってしまうでしょう。

 

住宅は人が住む場所で、そこに長く、大抵は数十年を過ごします。であれば、その住宅はそこに住む人の性格にまで強く影響するでしょう。それが子供であればなおさらです。環境は子供の成長に強い影響を与え、そこで身についた性格は一生変えることは出来ません。

 

この十数年ずっと気になっていたのですが、白一色の無機質な内装や、コンクリート打放しの堅い室内は、本当にそれで良いのでしょうか。そこで人間は、本当に休まるのでしょうか。子供の情操教育は大丈夫なのでしょうか。という疑問がずっと消えません。と言っても、統計的に調べる手だても無く、傾向を知る当てもありません。あくまでも本能的な推測です。

 

一方で、最近増えてきた木の内外装は、室内をとても柔らかく包み込み、、街並みも優しくしてくれます。コンクリートの住宅やタイル張りの家は何か要塞の様で、道行く人を緊張させますが、木目や漆喰などの柔らかい外装の家は、立ち止まって庭などを覗きたくさせてくれます。木をふんだんに使った内装の部屋は、入った瞬間に柔らかでアロマの混じった空気を感じます。手で触れれば温かく木の質感も感じ、そこに住む人の人となりを感じさせてくれます。漆喰や珪藻土などの自然素材も似たような雰囲気を作ってくれます。

そんな木の家や木の内装は、恐らくそこに住み続ける人の心も癒し、穏やかにさせてくれるはずです。少なくとも、コンクリートや石の内装よりは人間的でしょう。

 

1970年代以降、長い間天然の木や土が嫌われ、工業製品の新建材や塩ビクロス、プリント合板などが住宅の内装材として君臨してきました。その方が安いし、扱いやすいし、手入れも簡単だからです。でも、その判断は間違っていたと思います。偽物の素材はそこに住む人間も粗雑にしてしまいます。生き物は、生きた素材の中で住むべきなのでしょう。

木の仕上げが見直され、増えてきました。このまま続いて欲しいです。そうすれば、20年~30年後の日本人はもっと優しい人間になってくれるかもしれません。