正座

お茶席では正座が必要です  参加したお茶席でお手前をする女性
お茶席では正座が必要です  参加したお茶席でお手前をする女性

床に座る、という日本古来の「床座」という伝統は、奈良や平安時代以前から続いていて、恐らく2000年以上の歴史だと思います。土足から上履きになり、室内では床に座るという生活は、絵画や文章が記録され始めた平安時代には既に日常になっており、当然ながらそれ以前からの伝統だと思われるからです。

 

でも、床に座ると言っても、正座、横座り、立て膝、あぐらなどいろいろあり、更に足を投げ出して座ったり、横座りでもたれかかったり、寝転がったり、その座り方は千差万別です。床に座る、と言うと正座かあぐらと思う人もいるかと思いますが、正座はむしろ最近の作法で、長い歴史の中では、あぐらや横座り、立て膝などのほうが主流であったようです。確かに大河ドラマを見ていると、武士は正座はせずにあぐらをかいています。但し、女性は正座をしていますが、果たして本当の史実なのかは疑問です。かしこまった正装の場面ではそうでしょが、多くの町民や農民は違っていたかもしれません。

 

現代ではイス座が主流です。家庭の食事もレストランもダイニングテーブルに座って食べています。居酒屋や旅館では、タタミに座って食べる機会も多くありますが、スカートの女性、特にミニスカートの女性には嫌われがちです。尤も、旅館では浴衣かもしれませんが。

でも、イスに座る、という姿勢は、本当に楽なのでしょうか。私は懐疑的です。私自身は、長時間イスに座るのは苦手で、足がだるくなるので、ついついイスの上にあぐらをかいてしまいます。私の妻は、常にイスの上に正座か横座りで、息子もあぐらか立て膝で座っています。欧米の映画でも、ソファーに横座りしている女性をよく見掛けますし、男性はよく机の上に足を投げ出して座っています。掘りごたつの式の居酒屋でも、足を投げ出さないであぐらをかいている人は多く、女性も横座りを多く見掛けます。

 

ちょっと座るにはイスなどに腰掛けるのは楽ですが、長時間になるとイス座は一概に楽とは言えないのではないでしょうか。床に座って、足をなげ出している方が楽だったり、あぐら、立て膝、横座りのほうが長続きしたりします。正座だけは、長時間はかんべんです。もともとかしこまった場での座り方なので、長時間座る為の姿勢ではないと思います。

 

これが正しい、という姿勢はないのかもしれませんが、お行儀良く、という親からの躾けによると、あぐらや横座りはだらしないと言うことなのでしょう。でも住宅は躾の教室ではありません。楽して休息する場所です。一番楽な方法を自分流で見つけ出し、その流儀で生活するべきだと思います。