住宅の話

金沢の瓦  黒々とした重厚で落ち着きのある瓦で有名です
金沢の瓦  黒々とした重厚で落ち着きのある瓦で有名です

住宅の屋根、というと瓦が思い浮かびます。いらかとも呼ばれ、代表的な屋根材として、特に西日本では当り前のように使われています。瓦は粘土を整形して焼いたもので、英語ではclayやtileになり、baked clay やroof tile 等と呼ばれやはり長く愛用されています。特にスペイン瓦のオレンジ色の瓦屋根は日本でも有名で、住宅メーカーや洋風建築の得意なツーバイフォーメーカー等がよく使っています。

 

瓦が西日本で多く使われているのは、瓦の産地が、愛知や淡路、島根、伊予、備前、加賀など、西日本に多いからです。元々は中国伝来のお寺の屋根に使われ始めたのが始まりで、奈良や京都、中国地方がその中心だったために瓦の生産地が西側に集中しています。産地によって瓦の色が違っているのも、街並みの特徴となっていて、金沢の黒々とした屋根や淡路島の銀色に光る屋根などはその代表です。その瓦屋根が並んだ様は、正に、いらかの波と雲の波、というこいのぼりの詩の通りだったでしょう。

 

ところが、戦後を中心に近代建築の波が主流になると、住宅でも瓦の重々しい外観が嫌われるようになりました。瓦屋根はその特性から、25度から30度程度以上の勾配が必要で、どうしても頭でっかちの重厚な外観になってしまいます。お寺がその代表でしょう。大きな瓦屋根ばかりが目立ち、その重厚さがそのまま建物の重みになっています。逆に言えば、重々しい家しか表現できないその特性が近代建築で嫌われてしまったと言うわけです。

 

そもそも日本の住宅は、板張りや茅葺きが主流でした。瓦屋根は、江戸時代以降の、豊かな環境になってから普及したもので、それでも金持ちのシンボル、という感覚は抜けきれません。特に都市部の板張りは軽い感じのスッキリとした外観が特徴で、多くの数寄屋建築や茶室の屋根に使われています。そう考えると、瓦屋根の方が特殊なのかもしれません。武家屋敷や庄屋、地主、大家、城、豪農など、何となく金持ちっぽい感じがついて回るのが瓦屋根かもしれません。

 

耐震建築の観点からは、屋根は軽い方が有利です。頭でっかちにならない程度のほどほどの屋根を選ぶことが、賢い設計です。その意味では、40坪の平均的な住宅には、板金やスレートの屋根が似合っているのでしょう。流行だけではない、正しい理論の上での屋根仕上げが選ばれているのかもしれません。