気密性能

高い気密性能と断熱性能のイメージ図  日経新聞の電子版から
高い気密性能と断熱性能のイメージ図  日経新聞の電子版から

一度性能の標準レベルが上がってしまうと、なかなか下げることは出来ないし、それ以下の性能の建物は安物扱いされてしまいます。例えば住宅の断熱性能が良い例です。1980年当時、最高レベルで建てられた断熱性能の住宅は、1992年には新省エネ基準へと変えられ、更に1999年には次世代省エネ基準へと変化していきました。

平たく言えば、1980年に壁の断熱材は、ロックウールやグラスウールの厚みで25mmが標準でした。それ以前の住宅では、断熱材そのものが入っていなかったことから見れば、大きな進歩です。でも、1992年には50mmが標準となり、1999年には85mm、そして現在では100mmが当り前です。厚みは4倍、つまり断熱性能も4倍です。

 

1980年に建てられて一度もリフォームをしなければ、現代の住宅に住む人にとっては、寒くてしょうがない家、となるでしょう。でもって、実際にその通りで、寒くて寒くてどうしようもありません。いくら暖房をしても、どこかしらスースーしています。当り前です。壁から熱が逃げ、冷たい壁の冷気が身体を冷やしているのですから。

 

もう一つ断熱性能を高める手段として、気密性能があります。つまり隙間を無くし、冷たい空気の流入を防ぐことです。古いアルミサッシは気密性能が低く、しっかりと閉じても隙間風が入ってきます。もちろん古い家ですから、壁にも隙間が出来、そこからも冷気は侵入し、それも部屋を寒くしています。気密性能を高めるというのは、この隙間風をことごとくシャットアウトすることで、外気の影響が無くなり、暖かさが持続できます。特に家の中の場所による温度差が減り、廊下や洗面所でも寒くなくなります。

最近の新築住宅は、この気密性能まで計算して設計されています。

 

ところが、気密が高くなると、部屋の中の空気が動かなくなり、汚染物質の濃度も高くなります。その為強制的に換気扇で空気の入れ換えをさせる法律までできました。窓を開けて換気をすれば済むことですが、それをしない人が多いので強制的な対策を取ったのでしょう。

正に、必要悪。日本人は、暖かさと引き替えに、新鮮な空気を失ったのです。

でも一度この暖かさに慣れた人は、もう元には戻れません。せいぜい換気扇で新鮮な空気を取り込むしかないでしょう。

気密性能は更に高まるでしょう。近い将来、空気清浄機と酸素供給機がセットになったエアコンが出てくるのでは、と真剣に予測しています。