高層住宅

超高層住宅が増えています。都市における住宅の姿としては、当然あるべき姿であり、今後も増え続けると思いますし、世界中がその方向に進んでいます。でも、この住宅は、本当に住宅なのだろうか、と疑問にも思っています。住宅というのは生活をする場所であり、家族が集う場所でもあります。生活というのは、食と寝室が備わっていれば良い、と言うものではありません。子を育て教育し、次の世代へと文化を引き継いで行く事です。その時、果たして高層住宅の中に、文化はあるのだろうかという疑問が沸いてきてしまうのです。

 

高層住宅の中は、基本的には人工の環境が主流となり、取り込める自然は、当然ながら地上とは全く異なった環境で、ある意味長い人類の進化の過程では、かつて経験すらできなかった環境です。人間に限らず全ての生物は、環境との関係の中で進化し、特に人間は環境に応じた文化を形成してきています。この100年間、人類は自らの手で大きく環境を変えてきていますが、その危険性にやっと気付き、今改めて環境を元の状態に戻そうと活動を始めています。

高層住宅の中は、正にその人工的な未経験の環境です。その中では、人間は全く新しい生活を作り出すかもしれないし、逆に全くこれまでの文化と隔絶した生活を営むかもしれません。

 

単純に言えば、子供達は何処で遊ぶのだろうとか、地上の見えない住宅で子供達はどんな感性を身に付けるのだろうとか、四角い箱の中だけでの生活時間が増えた時の人間性はどの様なものになるのだろう、などと言った様な事が疑問の一部です。遠くの雲は見えても、足下の草花を見ない生活ですから、物のスケール感も異なっていることでしょう。

 

人間の本能がそう簡単に変わることはないですが、3才までに受けた環境の刺激は、終生身に付くと言われています。人間には3才までの記憶が残りませんが、逆にその間の経験は、その人の潜在意識や人格として植え付けられてしまいます。そう思うとやっぱり不安です。子供達の中では、全く違った文化の基準が育っているのかもしれません。

超高層住宅は、子育て空間では有り得ないと思います。あくまでも成長した、大人達の住み家ではないでしょうか。

そんな不安がずっとあります。