ハンドメイド

機械では表現できない曲線を使った、アールヌーボーの階段手すり
機械では表現できない曲線を使った、アールヌーボーの階段手すり

ハンドメイド、つまり手作りの良さとは何でしょうか。

手作りの逆は工業製品になります。今や巷にあふれている物のほとんどが工業製品ですが、その工業製品の良さは何と言っても安さでしょう。機械による大量生産は物の価格を一気に下げてくれます。品質だって安定していて、仕上がりだって文句なしです。デザインも色も豊富。色々なメーカー製品の中から、気に入った物を選ぶことが出来ます。正に、産業革命のなした技です。

 

その産業革命は、1850年以降、19世紀の後半に起こりました。それまで手作りで一品ずつ作っていた製品を、蒸気機関などを利用した機械を使うことで、一気に大量に作れるようになり、物の製作に関しての革命を起こしました。でも、そうした時代の変化には必ず反対者が現れます。手作りの良さ、物の芸術性、機械では為し得ない表現力などなど、手作りならではの美徳が失われることに危機感を感じた人々が、19世紀の終わりに多数現れ、アーツアンドクラフツという運動を起こしました。有名なアールヌーボーもそうした活動の一部です。この活動により、日用品にも芸術性が与えられ、優れた工芸品が数多く発表されています。

 

実は建築でも似たような活動が起こっています。新しい芸術性と、量産品に頼らない工芸品を多用した建築の始まりがこの頃、20世紀初頭に始まっています。産業革命による人口の都市集中化により、大量の住宅建設が必要となり、今で言うプレハブによるアパートが大量に建設されています。その動きに反発した建築家達の活動がそれです。建築における芸術性が見直され、古典を排除し、新しい建築を目指しました。それを近代建築と呼んでいます。

 

こうしてみると、ハンドメイドというのは、常に工業製品への反発のようにも見えます。機械では表現できない、或いは作れない物を手で作り、しかも優れた工芸品として芸術性を高めて行く。下世話な言葉で言えば、高級品の事です。

実は20世紀初頭の活動でも、アーツアンドクラフツ等の運動によって作られた製品は、高級品ばかりでした。つまり、手作りは高いという結果になってしまったのです。

 

現代ではどうでしょう。プレハブ住宅に対して注文住宅は、やっぱり高い、という結果は否めません。理想の住宅は手に入りますが、手作りなのでどうしても高価になってしまいます。ハンドメイドは、住宅でもやっぱり高級品の分類なのかもしれません。