四角い家2

皇居の新宮殿  この建物の屋根の形と材質を決めるには大変な議論が交わされました
皇居の新宮殿  この建物の屋根の形と材質を決めるには大変な議論が交わされました

学生に住宅設計の課題を出すと、平均的に大きく二つの傾向が出てきます。一つは、勾配の屋根が無く四角い立面図の家にすること。二つ目は、丸い家にする学生が常に何割かいる事です。実は、この二つの特徴にはある共通点があります。四角と丸なので、なんじゃらほいと思うかもしれませんが、この傾向は発想力の不足、と言う共通点があるのです。

 

丸い家や円形の建物。実は丸というのは、大きさは変わっても形は一定です。どんなに大きくても小さくても、円は円です。つまり完成された形で、変化が無い、最もシンプルな形の一つです。その形を選んで設計するというのは、複雑な形を決める力がない、と言うことを自ら主張しているようなものなのです。なので、発想力の無い学生ほど、或いは手抜きの学生ほど丸い形を使いたがります。

 

四角い家は、やはり立面を決める力が無い学生に多い表現です。もし屋根に勾配を付けたとすると、その勾配をどれくらいにして、どの程度庇を出せばよいのかを、数多くシミュレーションしなければなりません。しかも、立面とパースとでも見え方は大きく違ってきます。建物のボリュームや重量感、和風や洋風と言った表現の違いなどなど、屋根の勾配は色々な要素に関係してきます。なので、そうした要素を探求する力の無い学生ほど、四角い家を設計します。

 

もちろん、日本の気候風土には屋根は重要なアイテムです。雨漏りも少ないし、外壁も守り、夏の直射日光から部屋を守り、断熱効果も高めてくれます。でも、シンプルで均質な家を設計するには、勾配の付いた屋根は邪魔でもあるし、設計する力も必要です。で、結局は屋根のない四角い家が生まれてくるのです。

 

この傾向は、プロの世界でも同じだと思います。インパクトのある洒落た家には勾配屋根は邪魔です。厄介です。無いに越したことはありません。で、無くした四角い家にしてしまう訳です。

もちろん、四角しか有り得ない住宅も世の中にはあります。でも、多くは消極的に四角い、と私は思います。

かっこいい家の形は難しいです。でも、やっぱり屋根も庇も、日本では重要だと思います。