二世帯住宅2

合衆国での他世代住宅の傾向です 1980年以降増加に転じています
合衆国での他世代住宅の傾向です 1980年以降増加に転じています

二世帯住宅というのは造語だという話はしましたが、何故「二世帯」という名称にしたのでしょう。「二世代」ではないのです。英語にも似たような表現がありますが、Multi Generation Household と呼ばれているので、やはり「多世代住宅」になります。

二世帯だと、それぞれが独立している前提があり、二世代、あるいは多世代は、親子や孫などの世代をまたいだ同居生活という意味になります。この言葉からも、日本の二世帯住宅の発想が、独立した子供のための住宅問題の解決、という背景が読み取れると思います。

 

しかし、現代の問題は多世代同居の必要性です。高齢者介護が最も緊急な課題だからです。

 

高齢者同居の難しさは、住宅の機能や品質、構造、性能などのハード面での対策では全く解決しないことです。また、間取りでも解決し得ない問題も多々あります。この問題の解決に必要なのは、生活を考えて形にする、事です。とだけ聞けば、プロの設計者なら誰でもできそうな感じを受けるかもしれませんが、全く違います。自分が経験したことのない生活を想定することからして難しいのに、加えて加齢により状況は日々変化して行きます。つまり、想定の範囲を超えることが多いのです。どんなに福祉の学習をしても、生活の内容は百人百用、全く想像もしなかった生活を送っている人達は大勢います。そして、高齢者はその生活パターンを変えることができません。そこが最大の難関なのです。

 

頑固、だからではありません。出来ないのです。今までの人生で経験してこなかったことに対応する力が無いのです。理解力、体力、判断力、記憶力など全てが落ちているため、したくても出来ないのです。また、無理な変更は事故にもつながりかねません。

それが高齢者対応の住宅の設計が難しい理由です。良かれと思ってしたことがかえってあだになる、という経験が沢山あります。時として、本来の用途とはかけ離れた使い方をしている場面にも、多く出くわしました。

 

一番良い対策は、恐らく、早い時期から多世代で生活を始めることだと思います。二世帯ではありません。同居です。そしてお互いに理解し合いながら、生活を作っていくしかありません。高齢になってからの同居では遅すぎてしまいます。

日本の住宅がもっと広ければ、きっと違った道に進んでいたことでしょう。 無い物ねだりですが、残念です。