マンションの寿命2

URのマンションでは、長期耐久性コンクリートが使われ、給排水管の交換も可能な設計がなされています
URのマンションでは、長期耐久性コンクリートが使われ、給排水管の交換も可能な設計がなされています

給排水設備の劣化による水漏れや臭気の発生、サッシの劣化による動きや気密性の問題、そして何よりもコンクリートの劣化による雨漏れや強度について考えてみたいと思います。

 

サッシの交換は、実は比較的簡単です。サッシは共用部なので大規模修繕の対象ですが、一ヶ所あたり半日程度で交換できてしまいます。なので、網戸が壊れていたり、重くて動きが悪くなったりしてきたら、全戸一斉に交換する事が可能です。

でも、給排水管の交換はほとんど不可能です。排水管のうち、縦に通っているパイプスペースの中の管は、室内の壁を壊さないと交換できません。10階建てなら、1階から10階まで一斉にパイプスペースの壁を壊す必要があります。事実上不可能でしょう。更に、地上に落ちた排水管は地中を通って道路まで行きますが、マンションの床下を通っているので、1階の床下も壊さなければなりません。どう考えても無理な話ですね。住民全員が一斉に退去しなければ、到底出来る工事ではありません。

 

古いマンションのトラブルの大きな部分である排水管の水漏れは、この様な訳で解決不可能なのが実態です。大規模改修は、この段階で諦めてしまうのがほとんどです。そして最後にコンクリートの劣化が残ります。

コンクリートの耐久性は、打設時のコンクリートの状態で決まってしまいます。つまり工事中に寿命が決まっているのです。もちろん多くのマンションが、寿命まで考えてコンクリートは選択していません。考えるのは構造強度と施工性だけです。なので、建物によって寿命は異なりますが、1980年代くらいまでの建物の多くは50年~80年程度が限度でしょう。2000年頃からは100年以上の寿命のコンクリートも時々使われていますが。

 

と言うことは、私の住んでいる1988年生まれのマンションは、あと30年後の2044年には、ほとんど寿命を迎えると言うことになってしまいます。もちろん、環境やメンテナンスの頻度にもより延命は可能ですが。

 

給排水管の交換が出来ず、コンクリートも寿命に近付く築60年越えのマンション達。建替えの資金も無く、引越し先もない住民達が細々と住み続けることになるでしょう。この一事を持ってしても、乱立する民間の分譲マンションは問題を先送りし続けている事が明白です。いつになったら、日本の企業達はこの問題を真剣に考え始めるのでしょうか・・・・