マンションの寿命3

構造躯体以外の全てを交換可能にした実験住宅  大阪ガスのNEXT21
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老化したマンションでの最も大きな問題は、これまで述べてきたように、構造躯体の劣化と給排水設備配管のトラブルです。

構造躯体の多くは、コンクリートの中性化と言われるもので、本来アルカリ性のコンクリートが酸性化して、内部の鉄筋が錆びてしまう現象です。これは空気中のCO2などが主な原因物質ですが、避けようのない現象です。酸性化し、鉄筋がコンクリートの中で錆び始めると鉄筋は膨らみ、5cm程度しかないコンクリートの覆いは破裂してしまいます。一度こうなってしまうと、そこから一気にコンクリートはボロボロになってしまい、雨漏りだけでなく、構造強度も著しく落ちてしまいます。

 

こうなるまでの時間が概ねコンクリートの寿命と言われるものです。この中性化は表面から内部へと進行しますが、その速度はコンクリートの内容や環境によって異なり、一律ではありません。なので、50年のコンクリートもあれば100年のもある訳です。

ただし、一応寿命とは言われていても、こうなったからと言って一気に建物が崩落するわけではありません。恐らくは、あと100年程度は大震災さえなければ崩れることはないでしょう。雨漏りはひどいでしょうが。

 

つまり構造が寿命だと言っても、住み続けることは可能なのです。化粧直しさえすれば、かなり良い状態にまで持って行けて、大震災さえ来なければ生きながらえる事が可能です。

 

でも、給排水設備配管は違います。管の中には汚れが溜まり、金属部分は錆びたり腐食したりして穴が空き、塩ビ管も硬化して割れてしまいます。特に管の中に溜まった汚れは排水の流れを止めてしまうので、あふれたりして厄介です。更に、建物の下の地中部分で腐食したりして漏水したら、修理したくても出来ないし、やがてそこで排水の流れは止まってしまいます。その意味では、コンクリートの寿命よりもかなり先に、この給排水管の寿命は来てしまうでしょう。人間で言えば、動脈硬化と同じです。五体は完全でも、この動脈硬化だけで命取りになりますので。

 

躯体か給排水か、どちらが先に寿命を向かえるかは分かりませんが、ただ言えることは、コンクリートは決して永久的な素材ではなく、鉄や石に比べると結構もろい素材だと言うこと、そして給排水管は、全交換することを当り前と思って設計する必要があるということです。

100年以上住み続けるマンションは、実は、そうした高度な設計配慮がなければ成立しない建物だったのです。