男性の家事

キッチン回りの寸法図  常に女性を前提に考えられています
キッチン回りの寸法図  常に女性を前提に考えられています

住宅の設計では、奥様の出番が多いのが一般的です。ご主人は、総予算と外観や構造、そして風呂にこだわりの意見を言う方が多いですが、全体的な計画やLDKの使い方、庭や水回りなど、やはり奥様の意見が主流を占めて打ち合わせは進んで行きます。時には、ご主人は最初と最後の見積りの時だけしか顔を出さない事もあります。

家のことは妻に任せている、と言えばかっこいいかもしれませんが、どちらかというと無責任に感じる方が強いかもしれません。

 

家庭の中で、男性はどの程度家事に関わっているのでしょう。学術的な統計を見たことがないので一般論しか言えませんが、かなり少ない、というのが印象です。少なくとも百数十件の設計をしてきて、そんな印象を持っています。家事というのは英語ではhousewark で、文字通り家での労働です。ただし、英語でのhousework には、どうやら炊事は含まれていない様で、どちらかというと家を綺麗に保つ、housekeeping の意味が強いようです。掃除、洗濯に始まり、庭いじり、家の修理、草刈り、ゴミ処分、買い出しなどを意味しているようです。炊事はもちろんcooking ですが、kitchen work とも言われ、分かれています。

 

日本でも最近は料理を作る男性を見掛けます。つまり、料理が趣味、という事です。料理を家事としては考えていない様子で、楽しみながら料理をする感じです。では、掃除、洗濯、ゴミ出し、家の修理、庭いじりなどはどうでしょう。あまり聞きません。ちなみに私の家事分担は、家の修理全般とアイロン掛です。料理は出来ないし、洗い物はかえって回りを汚すので、嫌われています。掃除は四角い部屋を丸く掃くタイプで認められていません。でも、家の修理とアイロン掛は得意です。

 

もし男性がより積極的に家事に関わるとしたらどうなるでしょう。

建築的に考えると、まず家の面積を広げないと難しいと思います。女性に比較して大柄な男性がまめに動き回るには、日本の住宅は狭すぎます。日本人の平均体重は40代で男性が約70kg、女性が52kgですが、この数字はそのまま体積の比率と見なせます。とすると、男性の体積は女性の約1.3倍になります。どうしても動き回るには少し大きめな空間が必要になります。これは台所を見ると顕著です。キッチンカウンターの平均高さの80cm~85cmは女性の平均身長157cmから割り出されています。男性の170cmから割り出すと90cm程度になりかなり高くなります。さらに換気扇の高さはカウンター+80cmなのでだいたい床から1.6mで、男性にとっては目の高さです。

 

この様に、日本の住宅の設計は女性向きに作られています。つまり、家事は女性の仕事、という決めつけがあるからでしょう。

これでよいのか? ちょっと、考えてみる必要がありそうです。