家庭の科学

快適住宅のパンフ  某住宅メーカーの日パンフから
快適住宅のパンフ  某住宅メーカーの日パンフから

家庭の医学という類の出版物は多いですが、家庭の科学に関してはあまり聞きません。家庭生活を科学的に考えるとすると、何を考えるの? ってな疑問も沸いてきます。環境などが一番に浮かんできそうです。温度、湿度、快適、遮音、断熱など、全て環境工学という分野の科学です。でも、例えば家庭の社会科学、という言葉に置き換えると全く違ったジャンルが浮かび上がります。経済、消費、環境問題、ゴミ処分、リサイクル、エネルギーコスト、エコや核家族なんていう言葉がたくさん出てきます。もちろんこれらも家庭の科学です。家庭の栄養学になれば食事のバランス、カロリー計算、必要な栄養素なども入り、発育、育児、食生活から食物の保存方法、自然の恵みなど一気に幅が広がって行きます。

 

家庭の科学は幅が広いのです。何故なら、人間に関係した全てが家庭では扱われているからです。自動的に人間生活に関係した科学の全てが関与してきます。当然ですが、住宅の設計には、それら全ての知識と経験が要求されます。それらを全て総動員して考えているからです。

 

最近気になることなのですが、私が学び、経験してきたこれらの家庭の科学を、多くの若い世代が学びも経験もしてきていないのです。例えば、完璧にコントロールされたマンションの一室で問題なく育ってきた人々は、環境をコントロールする必要を知りません。ファーストフードやコンビニ弁当では栄養学もバランスも考えようがないし、マニュアル本だけを頼りにした育児では、事の良否の判断のしようがありません。周囲の環境や自然、周囲の人々や多くの意見に対峙して始めて経験が生まれ、自分の応用力が育ちます。でも、その経験を踏む場が無いようです。

 

子供に快適すぎる住宅は、本当に正しい姿なのだろうか、というのが正直な感想です。適当にすきま風もある窓を開け放した住宅や、大人数の家族で色々な意見やトラブルの中で成長することが、人間の成長には必要な気がします。自然を感じながら四季の恵みを食べ、壊れた物を修理しながら長く使う。エコとか省エネとかメタボとか、言葉だけが氾濫していて、その扱い方も本来の意味も知らない若者が多いです。

家庭の科学は、生活の全てを科学します。科学ですから、事実を見つめ、事実を理解しようとします。画像でも創造でもありません。あるがままの原理を知ることが科学です。

どうも最近、現代の住宅には科学が無いように思えて成りません。こんなに電子機器に囲まれているのですが・・・・