書斎

こうして親子が並んで勉強するのが理想です
こうして親子が並んで勉強するのが理想です

日本のお父さん方が、望んでもめったに手に入らない物の一つに、書斎があるでしょう。住宅は建て、或いはマンションは買っても、自分の書斎を持てる方は、極めて希です。私は100件以上の住宅を設計してきましたが、記憶にある書斎は、数件だけです。それも多くは、書斎コーナーで、寝室の一画に2畳程度のくぼみを作り、そこにデスクを置いた程度です。完璧な自分専用の書斎は、1件だけでした。

 

何故かと理由を問うまでもなく、広さが足りなく、部屋数が確保できないから、というのが最大の理由です。でも、実はもっと深い本質的な理由が潜んでいると思います。つまり、家で勉強をするご主人が、ほとんど存在しないという事実です。仕事を持ち帰る方はいると思いますし、パソコンくらいは家で使う方も多いでしょう。でも、多くの蔵書を用いて、仕事とは無関係に自宅で勉強をするご主人がどれだけいるでしょうか。そこに、面積よりも更に深い理由が眠っていると思います。

 

パソコンや読書だけなら、書斎は不要です。でも、子供に勉強部屋は必要と考えているご両親は多いです。でも、子供は自分の部屋で勉強をしているかというのも疑問です。試験前の勉強や受験勉強はありえるでしょう。でもそれ以外の多くの時間はどうでしょうか。親がリビングでテレビを見ている間、子供達は部屋でスマホで遊んでいるのではないでしょうか。親が遊んでいて、子供だけが勉強をするという状況は親の甘えです。テレビを消して父親も机に向かう事で、子供も勉強に前向きになるのではないでしょうか。大人は勉強する必要がない、なんて誰も決めていませんので。

 

私は、子供部屋の反対派ですが、勉強部屋も反対派です。出来れば、親も子供も並んで勉強する場所があることが理想です。ちょうど図書館で勉強するみたいに、並んで勉強する場所が子供も大人も共に学習する環境だと思っています。我が家では、息子が小学校高学年以降大学入学まで、私が家庭教師でした。当然ですが、息子が勉強する時は、テレビは消します。そして食堂のテーブルで勉強を見てあげました。その後、息子の大学入学と同時に私も大学院に入学したので、息子の机を借りてやはり一緒に勉強していました。

 

本当に必要なのはご主人の書斎ではなく、家族の書斎、共同の勉強部屋でしょう。机と本棚とが並んでいる一部屋は、だだっ広いリビングよりも、ずっと重要だと思います。