台所の未来

欧米のオーブンは、腰ぐらいの高さに置くことが多いです
欧米のオーブンは、腰ぐらいの高さに置くことが多いです

戦後、住宅の設計において革命的な変化を起こしたのは、間違いなく台所だと思います。1951年のDKの提案に始まり、冷蔵庫、電子レンジ、湯沸かしポット、電気炊飯器などの電化製品の進出、ガスコンロ、換気扇、IHなどの加熱機器周辺の変化、石、ステンレス、ホーロー、人造大理石などのシンクやカウンター材のの変化など、台所の周辺では様々な変化が常に起こり続けています。しかもその変化のサイクルはどんどん短くなり、車のデザインのように、10年も経つと古さが目立つようにすらなっています。

 

ここで困るのは、新しいものに対応させようとしても、簡単には対応できない事が多いということです。例えば、1960年頃、冷蔵庫の置き場など考えられていない台所にどうやって冷蔵庫を置くかは、かなり重大な問題でした。電子レンジも当初は大きく、しかも電気を大量に消費するので、すぐにブレーカーが落ちてしまいました。もちろん、ガスコンロや換気扇などは簡単には変えられないし、キッチンセットのカウンターは、リフォームするしか手はありません。なので、多くの主婦の方々は、10年から15年毎に、リフォームの検討を強いられています。

 

よくもまぁ、これだけコロコロと価値基準が変わるものだと関心もしますが、設計する側としてはこの進化速度は頭痛の種です。できるだけ長く快適に使っていただきたいので、リフォームは最小限で済むように設計したいと考えています。なので、こうした変化にはある程度余裕を持って対応できるように、フレキシブルな設計を心掛けています。でも、その枠を大きく越える程に変化されてしまうので、なかなか追いつきません。

 

今、未来の台所のあり方として私が注目しているのは、オーブンの進出です。日本人の料理は、煮る、焼く、炒める、蒸す、揚げるが主流ですが、オーブンで加熱するという手法はほとんど使われていません。せいぜいグラタンくらいなものでしょうか。ところが、欧米流の料理には、このオーブンで加熱するという料理が多いです。ローストビーフ、ローストチキン、パイ、ピザ、ケーキなどは全てオーブンでの料理だし、肉と野菜のスープなども欧米ではオーブンで作ってしまいます。オーブンでの調理は、準備に手間が掛かりますが、調理そのものはオーブンに入れて加熱するだけなので単純です。しかも素材を丸ごと使ったりもできるので、素材の味が生きています。

 

でも、このオーブン、日本には置く場所がありません。電気も大量に食う為ガスが今のところは主流なので、あまり浸透していません。でも、食事の欧米化や使いやすい電気式のオーブンの開発などで、将来は脚光を浴びるのではないかなと思っています。

電子レンジより熱が発生し、大きさも大きいオーブンですから、何となく置き場を確保するのに苦労しそうな、嫌な予感もします。