伝統工法

貫と木舞  横に通っているのが貫で格子が木舞です
貫と木舞  横に通っているのが貫で格子が木舞です

日本の木造建築と言えば在来工法ですが、実は在来工法よりも以前に、伝統工法と呼ばれる工法が存在していました。在来工法というのは戦後に発達した木造耐震建築の為の工法であって、日本古来の工法ではありません。地震に対応させる為に筋交を入れたり、大きな梁を用いずに細かく柱と梁を入れて根太で固めたりする工法は、全て合理的に耐震性を高め、しかもコストを押さえようと工夫を重ねた結果の工法です。在来と呼ぶので昔からあったように感じますが、正式には軸組工法と呼ばれている分類の一部です。

 

一方、伝統工法は1000年以上の歴史がある、日本古来の建築工法です。太い大黒柱にやはり太くて長い原木の梁で軸組が構成され、柱の真ん中に貫と呼ばれる板材を通して固めます。この貫が耐震の役割をしています。そして壁は、貫に絡めて竹を編んで木舞という下地を作り、泥を塗り込めて漆喰で仕上げます。大工と左官で作る家です。後は屋根屋が瓦葺きや板葺きで仕上げ、建具屋が窓や雨戸、出入り口を取付けます。現代のような複雑な分業はなく、自然界にあるものを工夫して使う単純な業種で作られています。

 

自然界の材料を工夫して使うため、精度を高めるためには高い技術が必要です。竹で編んだ木舞がゆるいと土塗り壁にヒビが入るし、柱の乾燥が悪いと漆喰壁との間に隙間が出ます。ヒビも入らず隙間も空かないのが、腕の良い職人の仕事で、信じがたいのですが、本当にヒビも隙間も無く、長い間ピタッと決まっているので不思議です。同じ木で作るのに、と思ってしまいますが、もちろん私には秘訣は分かりません。床根太も良い大工が作るといつまでもきしまないし、下がりもしませんが、悪い大工がやるとすぐにきしみ始めます。

 

現代の在来工法と違って、腕の差がそのまま仕上げに出てくるのが、伝統工法です。現代では工場生産品が大半を占めているので、現場での腕の差はあまり仕上げには出てきません。誰が作ってもそれなりに出来てしまいます。

可もなく不可もなく、と言ったところですが、反面伝統は失われてゆきます。しょがないのでしょうが、完全に消滅するまでは既に秒読みの段階でしょう。まぁ、現代の在来工法だって、きっと同じ運命をたどるのでしょうが・・・・