伝統工法2

世界遺産の法隆寺 五重塔は落雷で何度か全焼しています
世界遺産の法隆寺 五重塔は落雷で何度か全焼しています

古いものが必ずしも良いわけではありません。伝統だからと言ってベストではないですが、過去なくして現代が有り得ないように、伝統を無視して現代は語れません。日本最古の現存する木造建築は、法隆寺であることは有名です。その意味では、伝統建築の原点でもあります。

 

実際、伝統建築の多くは寺社仏閣の形で残っているものがほとんどで、後は城郭が少しと江戸時代末期のお蔵が若干残っている程度です。なので、伝統工法と言っても、それは寺社を建てることの出来る一部の宮大工の中に引き継がれている程度で、一般的な大工の知るところではありません。伝統工法の部分的適用は多く見掛けますが、純粋な工法ではほとんど現代の耐震基準には適合できないでしょう。やむを得ませんが、伝統っぽい工法、というのが限界です。

現代でも100%伝統工法で新築された建物は、式年遷宮を行っている伊勢神宮です。この建物は建築基準法の適合外なのか、伝統工法で出来上がっています。

 

最近流行の伝統工法の取り入れは、多くが仕上げです。漆喰による塗り壁、木舞を利用した土塗り壁、本瓦の屋根、天然無垢の木による床仕上げなどが多いです。どれも日本古来の仕上げ方法で、職人の腕を選ぶ難しい仕事です。なので簡単に請負うことなどできかねる仕事です。まず何よりも、腕の良い職人がいません。漆喰をピタッと押さえるにはかなり高度な腕が必要で、どうしても樹脂入りの珪藻土に逃げたくなります。天然無垢のフローリングも本物の無垢材は相当難しく、材料も高価です。一般的に無垢フローリングと呼ばれているのは、工場で加工されて塗装などがバッチリ施された一般流通品です。本当の無垢材は、木から切り出し、乾燥させ、ほぞ加工を施して隠し釘で決めてゆきます。必ず伸縮があるので、それを想定して隙間を空け、反りが出るので、木の木目を読みます。それでも経年で凸凹が出てきてしまいますが、それもまた、味と言えるでしょう。

 

総合的には在来工法で部分的に伝統工法、というのは、一見民家っぽくって良いものですが、その部分的仕上げにも腕の差がはっきり出てきますので、注意が必要です。どうしても1~2年で化けの皮が剥がれますので。それに何よりも、日常の手入れも大変です。棟梁が近くにいて仲良しでないと、なかなか維持しきれないでしょう。

古いものは、不便です。でも使うほどに味わいが深まります。

古いものを伝承しよう、というよっぽど強い信念がないと、維持しきれないと思います。