吹抜け

建築家前川國雄の自邸 大きな吹抜の居間食堂が印象的です
建築家前川國雄の自邸 大きな吹抜の居間食堂が印象的です

一般の住宅ではなかなか実現しにくいですが、1、2階を吹抜けにして天井を高くする計画は、住宅の設計を一気に豪華にしてくれます。特に効果的なのは、居間食堂の天井を抜いて2階までの吹抜にしたり、2階の天井を作らないで屋根までそっくり見せてしまったりという技法です。天井を高くすると開放感が強まりますが、特に大きな窓を付けることで、思いっきり明るくする事ができます。

 

一般の住宅でなかなか実現しないのは、どうしても2階をいっぱいまで計画して総2階に近付けようとするからです。もともとが狭い敷地なら、吹抜で遊ぶ余裕も作り難く、めいっぱいに建てたくなるのが一般的で、取れたとしても玄関上などのわずかな吹抜け程度です。この吹抜が非常によく使われている建物が別荘です。別荘は、求められる機能や部屋数が少なく、2階の面積を少なくすることができます。しかも非日常的な建物なので、空間も非日常的にしたがる傾向があり、1階居間などの吹抜を多く見掛けます。

 

吹抜は、開放邸で明るくはなりますが、日常性を考えると幾つかの難点があります。まず暖房の効率です。温まった空気がみんな上に行ってしまうので、1階が寒くなります。この対策は床暖房しかありません。ただ、床暖房にするとこの問題はほとんど解決してしまい心配が無くなりますが。次の問題が窓拭きの方法です。吹抜の上部にある窓は、まず拭くことは出来ません。なので長い間には汚れが気になってきて、場合によってはプロに依頼することになります。もう一つ音の問題。1階のテレビや会話の音が2階に響きます。場合によっては壁で反響して通常より大きく聞こえることもあります。一番注意するべき点かもしれません。

 

十分な広さがあって音が籠らないとか、家族数が少なくてあまり気にならない。更に、かなりの狭小住宅で、建物全体で暖冷房を考える様な気密高断熱住宅にするなど、幾つかの条件が必要かもしれません。そして何よりも、形に誘惑されないで、ちゃんと機能を理解して計画することです。

でも、2階の吹抜け天井はそんな心配はありません。おおらかに大きく屋根を作り、小屋裏空間なども交えると更に効果的です。そうです、吹抜のある住宅は、全体的におおらかに生活できる人向けです。神経質な人には、きっと無理でしょう。