屋上

きれいな屋上ですが、維持するにはかなりの覚悟が必要です
きれいな屋上ですが、維持するにはかなりの覚悟が必要です

夏は暑く、冬は寒いのが屋上です。1980年代、コンクリート製の住宅が流行し始めた時、平らな屋根の上を使わないのはもったいない、という発想から屋上利用が流行しました。2階のベランダから狭い階段で上ったり、ペントハウスを設けて室内から登ったり、いろいろと工夫しながら屋上の利用を計画しました。屋上の利用価値もさまざまに議論され、洗濯物干し、天体望遠鏡観察、夏の夕涼み、花火の観戦、屋上菜園などなど、施主の要望に応じて計画をしたものです。

 

ところが、入居して1年もすると、ほとんどのお宅で使わなくなっています。やっぱり、屋上まで上るのは不便だったのです。

実は私の実家も屋上があります。3階建ての住宅ですが屋上に出られるようになっていました。でも、記憶に残っている屋上は流星群が来た時に登って観察した高校生の時のことぐらいです。最初は遠くまで見渡せて感激しましたが、それで終わりでした。洗濯物を干すには登るのが大変だし、干しても風が強くて飛んでいってしまいそうです。事実、屋上に置きっぱなしだった折りたたみ式のイスが、台風の時に飛んでいってしまったことがあるほどです。暑い夏の夜、夕涼みには良いでしょうが、やはり行くのが面倒です。

 

屋上利用は、構造上の負担も大きくなります。もちろん手摺が必要ですし、防水層も歩行に耐えられるように保護層が必要になります。その防水は15年程度でやり換えになるので、改めて保護層もやり直しです。外階段も鉄骨製で通常オーダーですので100万円程度かかってしまいますし、やはり塗装のメンテナンスが必要になります。

屋上菜園はかなり大変です。夏は暑さですぐに干上がってしまうので、日に2回は水やりが必要で、土は風で飛んでしまうので、常に補充が必要です。気や花も風で飛ばないように気をつけなければならないし、小物類を放置は出来ません。

 

そんな訳で、流行した屋上も1990年代にはあまり言われなくなりました。一時屋上緑化は流行しかけましたが、やはり個人の住宅で維持できるものではなく、すぐにすたれてしまいました。

木造住宅が見直され、屋根付きの住宅が主流になって、今ではほとんど見掛けなくなった屋上です。部屋とは分離された庭の様な存在ですが、やはり日本人向きではないのでしょう。日本人は庭に面した部屋が好きですから。