縁側付き住宅では、網戸もありませんでした
縁側付き住宅では、網戸もありませんでした

蚊や蠅、蛾、ハチなど、外から飛び込んでくる虫は多く、多くが女性の大嫌いな部類に入るようです。最も嫌われ者のゴキブリも飛んで入ってきますし、シロアリの女王蟻も盛んに飛び回っています。こうした虫たちから室内を守ってくれるのが網戸です。網戸の無かった一昔前(本当に数十年前のことですが)までは、さぞかし大変なことだったでしょう。

 

メーカー住宅やマンションでは、網戸の有無は相当に重要事項で、特に戸建ての住宅では、全ての窓に網戸が付いていることが必須です。網戸の無い家は考えられない、という事です。

ところが最近、多くの住宅雑誌を飾る住宅作品に、窓が全開にされる計画を多く見掛けます。何枚ものサッシが昔の雨戸の様に片側に引き込まれ、戸袋の中に全て入ってしまう、という仕組みで、窓が全開にされています。目的は開放感と庭や外部空間、外部環境との一体感の演出です。全面的に開放された窓のない部屋と、庭や周囲の景色とが一体化する、というコンセプトがこうした計画の背景にあります。一事、全面FIXのガラス窓も流行しましたが、ガラスもやはり壁です。壁が透明になっただけ。なので、一体化させるには、ガラスは邪魔なのです。

 

とはいっても、虫の多い日本で、虫嫌いの日本人ですから、どこまで開放的な生活が出来るかというと、疑問ではあります。以前、一年に数回も使わない屋上の話をしましたが、この窓も同じでしょう。一年に数回の開放しか有り得ないと思います。その意味では、屋上利用よりも構想の方が先行した、設計思想を優先した間取り、と言えるでしょう。

 

住宅は、100%個人の好みで作っても構わないので(もちろん法律と安全を前提にです!)、なんでも有りですが、相当な金額をかけて、完全特注のオーダーですから、かなり贅沢な自己満足と言えそうです。

でも、ゴキも蚊も蠅も蛾もへっちゃら、っていう施主なら、実に素敵な建物になります。特に、郊外の周囲の視線の気にならない場所なら最高でしょう。

網戸などなかった数千年に対して、網戸が必須の数十年です。

慣れてしまえば、開放感の方が優位に立つかもしれません。