竹富島の住宅5

敷地を囲っているフクギ 手前の低い木はチャーギ
敷地を囲っているフクギ 手前の低い木はチャーギ

台風に対する備えを、いろいろと工夫しながら、それでいて均整の取れた、美しい集落を作っている竹富島ですが、もう一つ風に対する備えがありました。敷地の周囲、特に東南方向に植えてある木です。フクギと呼ばれるやはり熱帯地方の木で、東南アジアから持ち込まれたものです。

 

このフクギは、幹が太くて厚手のしっかりした葉が密集して生えている、いかにも丈夫そうな常緑樹です。高さは10m~15m程度になりますが、葉は結構下の方の手の届く辺りからテッペンまで、密集して生えています。この木を敷地の東南方向に数本、必ず植えてあります。東南方向は、台風の強い風が吹いてくる方向です。その方向に、葉の密集した木を数本植えることで、台風の風を遮っているわけです。これが数件続いていますから、自動的に西南の方角も、隣家のフクギで遮られることになります。

 

フクギは、高い木のほとんど生えていない竹富島で、唯一の背の高い木、とも言えます。もちろん、成長したチャーギや、細い幹が絡まり合っているガジュマルの木もありますが、フクギが圧倒的です。

竹富島は、表面は珊瑚の砂や赤土で覆われていて、地中はすぐに岩盤になります。降った雨はすぐに吸い込まれ、岩盤をたどって海へ逃げてしまいます。これは植物にとっては、過酷な条件です。少ない水、栄養のない土地、強い日射し。なので、高い木は生えず、唯一フクギだけがしっかりと根付いているのです。

 

このフクギは、日影の少ない道路に、わずかばかりの日影を作ってもくれる、ありがたい木です。なにしろ、日中は真上から槍のように刺す太陽光線が全身に襲ってきますので、フクギの日影は唯一の休息場所でもあるわけです。

今の時期、黄色い実がたくさん成っていますが、遠い昔、東南アジアから持ち込み、風の対策とした先人の知恵に、またもや脱帽です。